組織として考える感情的知性(EQ):伸ばして磨く4つの方法

「ビジネスにおいて感情は出さないことが正しい」という考え方がありますが、感情は人間誰でも必ず持っているものです。そこで重要なのが、自分の感情を抑え込むのではなく、自分の感情も他者の感情もうまく扱うスキルです。


このスキルを感情的知性(EQ)と言い、感情的知性が高いことは、仕事上での成功や人間関係構築にも役立つという研究結果も!


そして現在、多くの企業が感情的知性の理論を導入しているほど、感情的知性に対する注目が集まっているのです。

今回は、組織やチームとしての感情的知性についてご紹介していきたいと思います。


【index】

  • 感情的知性(EQ)とは?
  • 感情的知性を伸ばす4つの方法
  • 感情的知性(EQ)が優れたチームを作る方法
  • 感情的知性(EQ)が優れた人を採用するには?
  • まとめ

感情的知性(EQ)とは?


感情的知性(EQ)と感情知性(EI)

感情的知性とは、心の知能指数のことです。IQ(知能指数)と並べて「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」とも呼ばれ、感情知性(EI)を測定することでその一端を知ることができます。


感情知性(EI)とは、"Emotional intelligence"の略語で、自分や他者の感情を理解したり、自分の感情を抑制したりする能力のことを表す概念であり、人間が集団生活を営むために必要とされる基本的な知能能力の一つです。

つまり、感情的知性(EQ)とは自分の感情や思考をマネジメントすることで、成果に向けて動かす力を意味しています。


例えば、営業成績が芳しくない部下に対して「数字をやれ!」と怒鳴る上司は、残念ながら感情的知性が低い上司です。反対に、「どうした?困っていることがあるのか?」と、相手の感情の原因を理解し、相手の心に響く言葉をかける上司は、感情的知性が高い上司だと言えるでしょう。

しかし、知能指数であるIQ とは異なり、感情的知性は遺伝などの先天的な要素が少ないことから、様々な経験や訓練、教育などによって後天的に鍛えて磨くことが可能だとされています。


感情的知性を伸ばすにために必要なのは、自分のEQを知ることが70%、訓練などによって伸ばす必要があるのは、残りの30%だとも言われています。


感情的知性(EQ)の歴史

感情的知性に関しては、1990年代にアメリカの心理学者たちが「学歴やIQの高いリーダーであるにもかかわらず、なぜ組織をつぶしてしまうのだろう?」といった疑問を持ったことがきっかけで調査が開始されました。

その結果、「IQよりも感情的な部分が組織に影響を及ぼしている」といった研究結果が導き出されたのです。

その後、感情的知性についてわかりやすく解説した「EQ こころの知能指数」という本が出版され、ベストセラーになったことにより、この概念が世の中に広まったというわけです。


感情的知性を伸ばす4つの方法

では、実際に感情的知性を伸ばすには、どうしたらいいのでしょうか?

ここでは、感情的知性を伸ばすための方法を4つご紹介していきます。


自己認識を高める

感情的知性を伸ばすには、まずは自己認識を高めることが必要です。

なぜなら、感情的知性の大きな部分を占めているのは、自分の感情でだからです。その感情が周囲に与える影響を認識する前に、まずは自分の感情そのものを理解する必要があるのです。


自己認識を高めるためには、日記をつけることが有効だと言われています。1日の終わりに日記をつけることで、その日自分に起こったことや、それに対してどう感じたのかを書きます。

日記を定期的に読み返すことで、自分の傾向や、どのような事に対して過剰反応するのか、といったことを客観的に認識することができるでしょう。


自分の感情と向き合う

自分の感情を理解したらその感情と向き合い、自分の感情をコントロールする方法

を見つけるために制御することを目指しましょう。

自分の感情を制御するポイントは、自分の感覚の受け取り方を変えること、つまり、自分の考え方を変えるということです。

感情のコントロールとは、怒りや不満などを感じてもすぐに反応せず、自分が求めるもののためにベストな行動をとることを意味しています。

決して簡単な事ではないかもしれませんが、例えば、「怒りを感じたら1から10まで数えてみる」、「運動をしてストレスを発散させる」といった方法を実践することも感情をコントロールするために有効です。

また同時に、怒りや不満といったネガティブな感情も自分を成長させるためのものだと前向きに捉えることも大切です。


共感力を磨く

共感力は、人間関係をうまくやっていくために最も大切なスキルです。

共感力を磨くには、具体的に次のような練習方法があります。


・相手の話を黙って聞く

他者を十分に理解するためには、相手の話に途中で口を挟まず、黙って聞きましょう。

自分の考えや意見は一旦置いておき、相手が思っていることを話す機会を与えることが大切なのです。


・反対意見を受け入れる

自分と反対意見の主張を受け入れることは難しいことです。

しかし、「もしも自分が相手の立場だったら、その言動は理に適っているだろうか?」と自問自答することで、反対意見を主張する相手の感情に共感できるかもしれません。


傾聴する

傾聴とは、耳だけでなく目や心まで傾け、真摯な姿勢で相手の話を聞くコミュニケーション技法です。

会話中、自分が次に何を言おうかを考えるよりも、相手が話していることに意識を完全に集中させましょう。

同時に、非言語コミュニケーションやボディランゲージも傾聴の重要な要素を担っています。


例えば、会話中に腕を組んでいたり目をそらしていると、相手は「自分の話に関心を持たれていない」と感じてしまうものです。その反対に、アイコンタクトを取りながら会話することで、「しっかりと耳を傾けてくれている」と感じるものです。

このように傾聴を実践することで、相手とより深い信頼関係を築くことができます。


感情的知性(EQ)が優れたチームを作る方法

感情的知性は個人だけに宿るものではなく、チームにも感情知性が存在しています。

チームの感情的知性を高めるには、

  • リーダーに感情的知性が高い人を任命する
  • 感情的知性を伸ばすトレーニングを導入する
  • ストレスがたまらない環境をつくる
  • チームの規範をつくる

といった方法が挙げられます。


リーダーに感情的知性が高い人を任命する

チームのリーダーが感情的知性に優れていると、メンバーからリスペクトされることから、チーム全体の感情的知性の成長を促すことができます。

また、高い感情的知性を持っているリーダーは、チームワークが重要であることを知っているため、メンバーの気持ちを理解し、褒めたり励ましたりしてメンバーのモチベーション向上にも寄与することでしょう。


感情的知性を伸ばすトレーニングを導入する

チームとして感情的知性を伸ばすには、それぞれのメンバーがお互いを理解しあう必要があります。精神的な習慣やパターンなどを深く理解することで、メンバー間の信頼関係も深まるのです。

チームの帰属意識を引き出すためのグループワークを実施することもおすすめです。


ストレスがたまらない環境をつくる

ストレスのない心理状態を意識的に作り出すことは、充実した時間を過ごせることに加えて、感情的知性を伸ばす事にも有効です。

そのためには、メンバーが自分の気持ちを表現する機会を作ることが大切です。

例えば、今の自分自身の気持ちを書き留めたり、1on1コーチングでお互いに向き合うことも有効です。


チームの規範をつくる

メンバー同士が衝突した際、最適に対処するための規範をつくることも重要です。

なぜなら、衝突が個人的なものになってしまうことを防ぐ目的があることに加えて、衝突を通してメンバーやチームが成長する機会にもなるからです。

「メンバー同士が衝突した際は個人的なことにせず、他のメンバーにも参加してもらって話し合う時間を作る」など、チームの規範をつくりましょう。


感情的知性(EQ)が優れた人を採用するには?

感情的知性の必要性は高まっているものの、採用面接時にその能力を見極めることは難しいものです。

ここでは、感情的知性が高い人の特徴、低い人の特徴をご紹介いたします。


感情的知性が高い人の特徴

感情的知性が高い人の特徴には、次のような共通点があります。

  • 自己認識力が高い
  • 自身で感情をコントロールできる
  • 偏見や偏向がない
  • 他者の意見や相談を聞くのがうまい
  • 失敗した時には素直に謝れる

上記のように、感情的知性が高い人は他者との関係性を構築するために、素直で思いやりがあり、冷静さも持ち合わせているということがわかります。


感情的知性が低い人の特徴

一方で、感情的知性が低い人の特徴としては、下記のようなことが挙げられます。

  • 極端にプライドが高い
  • 他人のミスへの寛容さがない
  • 感情的になりやすい
  • 人の目をまったく気にしない
  • 自己中心的な発言、行動をとってしまいがち

このように、感情的知性が低い人はプライドが高いがために謙虚さや素直さ、協調性に欠いているのが特徴です。


まとめ

今回は、組織やチームとしての感情的知性についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

「感情が人を動かす」とも言われているように、人を動かす原動力は感情にあり、知識やスキルだけでは心から理解、共感してもらうことはできません。

そういったことから、感情的知性はビジネスシーンだけでなく、日常生活などすべての土台になるものだと言えるでしょう。