CLIP&PAPERとは、日本におけるインサイドセールスの第一人者である茂野明彦氏によって考案されたフレームワークです。「白本」とも呼ばれる茂野氏の著書「インサイドセールス–訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド-(翔泳社)」の中でも、CLIP&PAPERが紹介させていることから、実際のインサイドセールス業務で活用したいという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、CLIP&PAPERを実際のインサイドセールス業務で活用するための情報を改めてまとめました。
【index】
- CLIP&PAPERの特徴
- ヒアリング部分のCLIP
- 提案部分のPAPER
- CLIP&PAPERのメリット
- CLIP&PAPER作成のポイント
- まとめ
CLIP&PAPERの特徴
CLIP&PAPERは、SPIN話法とFAB分析が土台となっている、インサイドセールスのためのフレームワークです。
SPIN話法とは、Situation(状況質問)・Problem(問題質問)・Implication(示唆質問)・Need payoff(解決質問)の頭文字をとったもので、お客様に様々な質問をして丁寧に掘り下げていくことで、顧客の潜在的なニーズを引き出すことに有効です。
FAB分析とは、①Feature(特徴)・②Advantage(利点)・③Benefit(利益)の3つの頭文字をとったもので、製品やサービスを分析する手法として知られています。
しかし、茂野氏によるとこれらにはいくつかの問題点があります。
例えば、SPIN話法における「問題」の定義が曖昧であったり、FAB分析に関しては提案・ヒアリングする相手によって内容が異なってくることなどが挙げられます。
そこで、SPIN話法とFAB分析をベースに考案されたのがヒアリング部分の”CLIP”と、提案部分の”PAPER”で構成された「CLIP&PAPER」なのです。
ヒアリング部分のCLIPとは、下記の頭文字をとったものです。
・Condition Question
お客様の環境や心理的な状況に関する質問です。
使用中の製品・サービスを選択した背景や現在の満足度など、心理的な部分にまで踏み込むことで、お客様への理解が深まると同時に、信頼を得ることにも繋がります。
ここでは、お客様が製品を検討する際に大きく影響する「個人的なメリット」にまで言及することが重要です。
・Loss Question
具体的な課題をヒアリングするための質問です。
Conditionが事象であることに対して、Lossは課題の確認と分類して考えることがポイントです。
例えば、「顧客情報の整理ができておらず、困っている」というのは、単なる事象にすぎません。しかし、「顧客情報の整理ができないために、アップセルの機会を失っている」という具体的なことまで引き出すことで、課題として認定されます。
・Impact Question
損失が引き起こす影響を認識してもらうための質問で、SPIN話法の「Implication(示唆質問)」が元になっています。
課題を放置することによるリスクを具体化させたり、他部署に及ぼす影響、将来への影響を想像させるような質問をしましょう。
・Positive Question
課題解決のための原動力を大きくするための質問です。
問題解決後に得られるメリットを具体化させたり、その影響範囲をより広げるような質問をしましょう。
ここでは徹底的にポジティブな質問をすることがポイントですが、加えて、話し方や声色までもポジティブであることも大切です。
提案部分のPAPER
提案部分のPAPERとは、下記の頭文字をとったものです。
- Point(自社製品について)
- Advantage(誰に?)
- Position(経営者・部門長・担当者)
- Effects(メリット)
- Real story(顧客事例)
◆Point、Advantage
FAB分析が元となっているPoint、Advantageでは、
・自社製品の要約・特徴・効果
・競合との比較・差別化要素・価格の違い
を整理します。
自社製品・サービスに関する知識が断片的であったり、競合に関する情報が整理されていないケースも少なくないとのことなので、この機会に整理・共有しておきましょう。
◆Position、Effects、Real story
Position(経営者・部門長・担当者)、Effects(メリット)、Real story(顧客事例)では、「誰にヒアリングするのか?」ということがポイントとなります。
例えばある製品に関して、経営者にとってのメリットはコストの削減である一方で、現場の担当者にとってのメリットは業務の効率化や営業体制の改善であったりと、多くの場合でそれぞれ異なります。
CLIP&PAPERのメリット
CLIP&PAPERでは、「誰にヒアリングするのか?」といったことを重視して行うため、ヒアリングする相手ごとの訴求ポイントを把握したり、「担当者へのメリットが少ない」などの課題を知ることができます。
また、それらの情報をチーム内で共有することにより、インサイドセールス力の向上にも繋げることができるのです。
CLIP&PAPER作成のポイント
製品やサービスが複雑化していることから、CLIP&PAPERの作成は意外と難しいとのこと。インサイドセールス業務に従事している方は、このフレームワークを10分間で埋めることができるかどうか試してみてみましょう。
CLIP&PAPERを実際に作成する際のポイントは、次の通りです。
3つのブロックに分けて作成
CLIP&PAPERは、
- ヒアリング部分のCLIP
- 自社製品に関するPoint、Advantage
- ヒアリングする相手に関するPosition、Effects、Real story
の3つに分けて作成します。
作成手順に関しては特に決まりはないようですが、
自社製品に関するPoint、Advantage
↓
ヒアリングする相手に関するPosition、Effects、Real story
↓
ヒアリング部分のCLIP
という順番が最も作成しやすいようです。
自分だけの目線で作成しない
CLIP&PAPERの作成は、自社目線ではなくお客様目線で作成する必要があります。
お客様目線で項目を埋めていくには、導入事例インタビューなどを確認したり、カスタマーサクセス部門の担当者などからお客様の生の声を共有してもらうなどの方法があります。
同時に、自分の意見だけでなく、他のメンバーの意見も取り入れることも大切です。そのためには、インサイドセールスチーム全体で作成するのがおすすめです。
チーム全体で多角的に作成することで、より強度の高いものを作成することができるでしょう。
まとめ
今回は、インサイドセールス力を向上させるCLIP&PAPERについて改めてまとめましたが、いかがでしたでしょうか?
作成したCLIP&PAPERは、実践しながらブラッシュアップすることで、より精度の高いものにすることができます。ぜひ、インサイドセールスチーム全体でマネージャーも交えながら作成してみてくださいね。
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