セールス・イネーブルメントとは?日本でも注目の理由・具体的な取り組みについて

セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)とは、継続的に成果を挙げていくために行う、営業組織を強化・改善するための概念や取り組みのことです。

新型コロナウイルスの影響などにより、従来型の営業スタイルの見直しに迫られている営業組織も少なくないのではないでしょうか?そこで今注目されているのが、「セールス・イネーブルメント」の概念なのです。

今回は、

  • なぜ今セールス・イネーブルメントが必要なのか?
  • 具体的にどのような取り組みが必要なのか?

といったことについて解説していきたいと思います。


【index】

  • セールス・イネーブルメントとは?
  • セールス・イネーブルメントツールとは?
  • セールス・イネーブルメントを実施する際のポイント
  • 書籍から学ぶセールス・イネーブルメント
  • まとめ

セールス・イネーブルメントとは?

冒頭でも触れたように、セールス・イネーブルメントとは、継続的に成果を挙げる事を目的とした、営業組織の強化、改善のための総括的な取り組みのことを言います。

複数の部署で行われている活動を別々の独立した活動とみなすのではなく、営業組織の強化・改善に繋がる一連の活動として行う総括的な取り組みなのです。

つまり、セールス・イネーブルメントの効果を最大限に発揮させるには、営業部門だけでなく、マーケティング部門やインサイドーセルス部門、システム・エンジニア部門など、会社全体として売上の最大化を設計する必要があるのです。


セールス・イネーブルメントの具体的な取り組み

セールス・イネーブルメントの具体的な取り組みとしては、次のようなことが挙げられます。

  • 研修、教育
  • 営業資料、会社案内、製品カタログの作成
  • webサイトコンテンツ、営業ツールの開発
  • マーケティング

上述したように、セールス・イネーブルメントの効果を発揮するためのポイントは、マーケティングや営業などの部門を分断せずに一貫して施策を設計し・計測することにあります。なぜなら、営業活動(アポ取り、提案、クロージング、成約)の背後には、営業担当者の研修、教育、ツール導入、営業プロセスの設計・管理などの様々な活動があるからです。

研修や教育、営業ツールの導入や営業プロセスの管理、分析など様々な施策を総括的に設計し、それらの目標達成状況などを数値化することで、営業チーム全体としての営業力の強化・効率化を目指すことができるのです。


セールス・イネーブルメントのメリット

セールス・イネーブルメントには、主に次のような3つのメリットがあります。


・営業力の向上・平準化

属人化しがちな従来の営業スタイルでは、組織全体として再現性のある取り組みを行うことが非常に困難ですよね。

しかし、営業担当者個人の能力に依存するのではなく、社内に蓄積された営業データを活用し、数値的な検証を行うことで、営業担当者それぞれの経験や勘に頼る属人的な営業スタイルから脱却することが可能となります。その結果、チーム内での営業スキルが平準化され、全体の営業力を向上させることを図ることができるのです。


・施策の効果の可視化

セールス・イネーブルメントでは、その施策・活動が「どのくらい活用され」「どのくらい成果に貢献したのか」を可視化し、「どこに課題があるのか」「どの施策がどれだけ改善につながったのか」を把握することができます。

営業活動において行った施策について全ての効果を測定することにより、自社に適した施策内容やタイミングなどを把握することができるのです。

同時に、営業現場で実際に必要な研修やコンテンツを把握、提供することにも繋がります。


・チャネル(流入経路)別の受注率を把握できる

マーケティング部門におけるセールス・イネーブルメントのメリットの一つとしては、チャネル(流入経路)別の受注率を把握できるといったことが挙げられます。

受注に至らないチャネルを改善すると同時に、受注に至るチャネル強化することで、受注につながる良質なリードをより多く提供することに繋がります。


・お客様の多様化、細分化された需要を把握できる

近年ますます多様化・細分化しているお客様の需要を把握するためにマーケティングが行われていますが、それらが売り上げに繋がっているかを計測するためには、営業部門との連携が不可欠です。

セールス・イネーブルメントによって効果を数値化・分析することにより、お客様の需要を明確に把握することができるようになります。


セールス・イネーブルメントが注目されている背景

セールス・イネーブルメントは、元々結果にシビアな米国で行われている取り組みですが、現在、日本でも注目されている背景には、次のようなことがあります。


・マーケティング部門が獲得したリードに対応しきれない

近年では、webマーケティングやMAの普及によってリードの質と量がともに向上してきています。しかしその一方で、マーケティング部門によって獲得した多くのリードへ営業が対応しきれないといった問題も顕在化しつつあります。

このような問題を解決するため、営業部門は営業力の向上と効率化の必要性が高まっているのです。


・営業の属人化

営業活動の属人化は、「引継ぎ時に問題が発生しやすい」「営業ノウハウが蓄積できない」「ミスの発見が遅れがちになる」「トラブル発生時の対応に支障が出る」といった問題が発生する原因に。

営業担当者の経験や勘に頼る従来型の営業スタイルでは属人化を防ぐことは困難なため、新しい営業手法への移行が多くの企業で急務とされているのです。


・顧客の需要が複雑化、細分化している

従来型の営業スタイルでは、営業担当者がお客様にところに出向いて情報を提供することが主流となっていました。しかし、近年ではインターネット上からあらゆる情報を収集できることから、ほとんどのお客様が購入前にwebサイトで検討している状況となっています。

このような購買行動の変化や価値観の多様化によって複雑化・細分化された需要を明確に把握できていない状況があることも、セールス・イネーブルメントが注目されている理由の一つです。


セールス・イネーブルメントツールとは?

「数値の可視化」が重要なポイントであるセールス・イネーブルメント。営業に関するさまざまな活動を数値化・計測して最適化するために、SFAやCRM、MAといったツールは必要不可欠であると同時に、これらをうまく組み合わせることで、効果的に進めることができます。

セールス・イネーブルメントツールを活用することによって、次のようなことが可能となります。

  • 営業資料、提案書などの共有
  • 収集したノウハウをもとに教育
  • 案件の進捗度合いの可視化
  • 営業担当者間の密な連携
  • お客様とのやり取りの履歴管理

セールス・イネーブルメントツールの導入を検討する際に注意したいのが、導入目的・活用方法を具体的に考えるということです。ツールの導入が目的化してしまいがちですが、投資効果が見込めるツールを選定することが大切です。


セールス・イネーブルメントを実施する際のポイント

セールス・イネーブルメントを実施する際のポイントは、次の通りです。


専門部署もしくは担当者を配置する

セールス・イネーブルメント実施の際は、専門の部署を設ける、もしくは、関連部署からそれぞれの担当者を集め、組織として運営しましょう。

日本企業では、セールスイネーブルメントが普及していないため、セールスイネーブルメントの経験者を見つけるのが難しいかもしれません。

しかし、蓄積された大量の営業データを分析して、育成プログラムや営業ツールの開発といった売上を向上させる仕組みを考案する担当者は、セールス・イネーブルメント実施の際に必要不可欠です。

セールスイネーブルメント担当者の適性としては、「営業が好き」「営業をサイエンスすることが好き」であることに加えて、次のようなことが挙げられます。

  • データ分析能力
  • プログラムプランニング能力
  • 現場理解を得るためのコミュニケーション能力
  • プロジェクトマネジメント能力
  • SFA、CRM理解
  • セールステックの動向理解


施策ごとの効果を測定、把握

研修や営業プロセスの改善、ツール導入などの施策実施したら、それぞれどのくらいの成果が出ているのかを測定し、把握しましょう。

効果を測定するには、アプローチ数などのプロセスや売上などの結果を全て数値化し、さらにKPIを設定します。目標KPIの達成状況や成果への貢献度などを可視化することにより、営業担当者ごとに強化すべきスキルが明確化するのです。

このように施策ごとの数値を可視化するためには、SFAやCRMなどのツールを利用するのが一般的です。


SFA・CRMを活用したデータ蓄積

セールス・イネーブルメントの実施には、 お客様の情報や商談履歴やその内容といったデータの蓄積、管理も欠かせません。

SFA(Sales Force Automation)とは、「営業支援ツール」と訳され、主な機能としては、

  • 顧客管理
  • 案件管理
  • 行動(プロセス)管理
  • 売上予測
  • スケジュール、タスク管理
  • 集計、分析レポート

などがあります。


CRM(Customer Relationship Management)とは、「顧客管理」などと訳され、主な機能としては

  • 顧客管理
  • 顧客分析
  • 問い合わせ管理
  • メール配信
  • イベント集客

などがあります。

このように、SFA、CRMを活用することでセールス・イネーブルメントの実施に必要な様々なデータを蓄積することが可能となります。


書籍から学ぶセールス・イネーブルメント

米国で誕生したセールス・イネーブルメントの概念は、日本企業ではまだなじみが薄いため、ノウハウを持つ人材が不足している状況だと言えます。しかし、下記でご紹介する書籍から学ぶことも可能ですので、ぜひ参考にしてみてください。


セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方/山下貴宏(著)


著者は、セールスフォース・ドットコム社にてセールス・イネーブルメント部門を主導し、グローバルトップの営業生産性を実現。同時に、セールス・イネーブルメント分野における日本での第一人者でもあります。

構築手順や進め方、事例などが、初めてセールス・イネーブルメントを学ぶ人にもわかりやすくまとめられています。


営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント/バイロン・マシューズ 他(著)


営業力強化分野の先駆的企業であるミラーハイマングループの元CEOのバイロン・マシューズを中心に、複数の著者によって執筆された書籍です。

ミラーハイマングループの手法を豊富で最良な事例とともに紹介した、セールス・イネーブルメントの超実践的ガイドブックだとされています。


まとめ

今回は、セールス・イネーブルメントの必要性や具体的な取り組み方についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

セールス・イネーブルメント最大のポイントは、「全体設計」と「数値の可視化」です。SFAやCRMを導入してこれらのポイントをおさえることにより、組織全体の強化・改善、ひいては売上の最大化を目指しましょう。