企業の固定電話を廃止すると、電話のために出社する必要がなくなるなど様々なメリットがあります。しかし、そこで気になるのは、その代替案ではないでしょうか?
今回は、企業の固定電話を廃止するメリットや、業務を効率化する方法などについてご紹介していきたいと思います。
【index】
・企業の固定電話の利用状況
・企業の固定電話を廃止するメリット
・企業の固定電話を廃止して効率化する方法
・まとめ
企業の固定電話の利用状況
インターネットやスマホの普及などにより、一般世帯では固定電話の保有率が減少しています。しかし、企業においてはその規模を問わず、今でも多くの業務で固定電話が利用されているのです。
その理由としては、
- 社会的信用の向上につながる
- 登記変更の手間を削減できる
- プライバシーを保護できる
などといったことが挙げられます。
しかし、それでも近年では企業でも固定電話を廃止したいと考える方が増えてきているのが現状です。その理由は、次でご紹介するような固定電話廃止による様々なメリットがあるからなのです。
企業の固定電話を廃止するメリット
時代の流れに合わせて、自社の固定電話の廃止を検討している方もいらっしゃるかと思いますが、企業が固定電話を廃止するメリットには、具体的に次のようなことが挙げられます。
電話の取り次ぎが不要になる
会社に設置されている固定電話は、手が空いている誰かが取ることが一般的だとされていますよね。そのため、取った電話が自分宛てのものだとは限らず、取り次ぎが必要となるわけです。
電話の取り次ぎは単純な作業ですが、実際には業務中の誰かの手をいったん止めて手間と時間をかけていることになります。また、電話をかけてきた相手は二度名乗らなければならなず、双方にとって効率的とは言えない作業となっているのです。
伝達ミスが発生しない
固定電話の取り次ぎによる情報伝達では、相手の話し方やニュアンス、温度感などを正確に伝えることができず、齟齬が生じてしまうこともあります。
単純な伝言であれば問題ありませんが、複雑な情報を伝言するとなると、不正確になってしまいがちなのです。
しかし、固定電話を廃止することで電話の取り次ぎが不要となり、それらのような伝達ミスを防ぐことにつながります。伝達ミスによるトラブルを回避するためには、初めから本人同士が直接コミュニケーションをとることが一番なのです。
出社の必要がなくなる
企業の固定電話を廃止すれば、電話応対のために出社する必要がなくなります。
固定電話を利用している限りは、電話対応のために出社せざるを得ませんが、固定電話を廃止すれば働く場所の制限がなくなるのです。
在宅勤務やリモートワークにも対応できるため、幅広い人材の確保が可能になることにもつながります。
組織の変更にも柔軟に対応できる
企業の固定電話を廃止することは、働く場所や時間を制約されないことから、ビジネスの拡大や縮小などの柔軟な対応がしやすくなります。
特に、時代の流れに柔軟に対応する必要のある中小企業やスタートアップ企業にとっては、固定電話のような大がかりな設備が事業の拡大などの妨げになるリスクがあるのです。
導入・維持コストを削減できる
固定電話を新設したり増設するには、その都度工事が必要であるため、工事費用がかかります。さらに、固定電話の月々の基本料金は電話回線ごとに発生するため、規模が大きくなるほど維持コストがかかってしまうのです。
しかし、固定電話を廃止すれば、固定電話のハードの導入や配線は不要となりますし、組織変更などによるレイアウト変更を行う場合でも配線工事の必要がなくなります。
企業の固定電話を廃止して効率化する方法
企業の固定電話を廃止して、業務効率を向上させるには、次のような方法があります。
チャットツールを導入する
電話以上メール未満の手軽なコミュニケーションがとれるチャットツールは、多くの企業で導入されていますよね。
メールのようにあて名や件名を入力する必要もないので、効率的かつ気軽に利用できるという理由で普及しているのです。
やり取りがテキストで残されるので、「言った・言わない」問題が起きにくく、上手に活用することで、より効率的で生産的なコミュニケーションが可能となるのです。
ビジネスチャットサービスを提供している企業は多くありますが、その中でも特にシェアの高いビジネスチャットでは、1対1のテキストチャットや複数人でのグループチャットはもちろん、
- 音声通話、ビデオ通話
- ファイルの送信、保存
- チャット内で交わされた内容のタグ付け、検索
- PC、スマホ、タブレットでの利用
が可能となっています。
また、ビジネスチャットサービスはビジネスの場面で使用されることを前提に開発されていることから、セキュリティ面に関しても高い基準を誇っています。
スマホを導入する
企業の固定電話を廃止にする代わりに、スマホを導入することも一つの手段です。
企業の固定電話を法人契約のスマホに置き換えることで、次のようなメリットがあります。
・業務効率の向上
これまでは会社でしかできなかった業務が、自宅などでも可能になることで、業務効率の向上につながります。
・コストの削減
固定電話の通話料金は、約10~20円(60秒)ほどかかりますが、スマホの「かけ放題プラン」などを利用することで、通話料を安く抑えることが可能となります。
・セキュリティの一元管理
法人契約のスマホであれば、法人向けのセキュリティサービスを受けることができます。
例えば、万が一紛失してしまった場合でも遠隔操作でロックを依頼することができるため、情報漏洩を防止することができるのです。
もちろん、企業の固定電話を廃止して個人のスマホに置き換えることも可能です。
従業員が個人で所有しているスマートフォンなどのデバイスを職場に持ち込んで使用することを「BYOD」と言います。圧倒的にコストを抑えることができる一方で、情報漏洩のリスクがあったり、プライベートとの切り分けが困難になるといったデメリットもありますので、準備を万全にすることが必要です。
IP₋PBXを導入する
IP₋PBXとは、企業内に構築されたネットワーク上にIP電話機を接続し、外線通話、内線通話を中継する、PBX(電話交換機)の一種です。
従来のPBXとの構造上の違いはありませんが、構築しているネットワークが電話線かインターネット回線であるかが大きな違いとなります。
IP₋PBXは、オフィス内に専用主装置を設置する「ハードウェア型」と、自社サーバーにインストールし、ネットワークを構築する「ソフトウェア型」の2つの種類があります。
「ハードウェア型」は、組織内でネットワークを管理するため、セキュリティ面の高さや稼働の安定性が期待できるのがメリットです。しかし、移転やレイアウト変更の際には専用機器を移動させる必要があるなどのデメリットもあります。
「ソフトウェア型」は汎用性があるため、移転や利用規模の拡大などに対応しやすく、費用も削減できることがメリットです。しかしその一方で、自社サーバーの準備や環境構築するための人材が必要となることに加えて、セキュリティ面にも注意が必要です。
クラウドPBXを導入する
クラウドPBXとは、従来はオフィス内に設置してあったPBX(電話交換機)をクラウド化し、インターネット上に用意した機能です。
従来の仕組みでは、PBXを設置するための工事が必要だったので、時間と費用がかかることに加えて、電話機や回線の増減、内線の設定などの際には、その都度業者に来てもらう必要がありました。
しかし、クラウドPBXであればオフィスに設置する必要がありませんので、工事の必要はありません。また、電話機や回線の増減、内線の設定なども、ブラウザからアクセスすることで可能となるのです。
IP電話を導入する
IP電話とは、インターネットに接続して音声を届ける電話サービスです。
従来のアナログな電話回線と比べると通話料が圧倒的に安く、最近ではビジネスシーンでの活用も増えてきています。
IP電話には、大きく分けると次の3つの種類があります
・0AB-J型(ひかり電話など)
「03」や「06」などからはじまる地域番号を利用することができ、アナログの固定電話と同等の安定した通話品質が特徴です。
・050型
「050」から始まる11桁の電話番号が割り当てられ、スマホなどからでも利用することができ、通話料金が安いのが特徴です。
・電話番号不要型(LINE、Skypeなど)
LINEやSkypeなどの電話番号不要型のIP電話は、従来の回線交換方式ではなく、VoIP技術を用いたデータ通信による音声通話です。
スマホでも利用することが可能で、通話料金が無料であるのがメリットですが、電話をかける相手もアプリをインストールする必要があったり、音質が周囲の電波状況などに依存するなどのデメリットもあります。
CTIを導入する
CTIとは、PCなどのコンピュータと電話やFAXを連携させる技術や、それを提供しているシステムのことを言います。
SFAやCMRと連携させることで、電話応対業務を効率化することができるため、コールセンターや営業シーンなどで幅広く活用されています。
CTIには、「クラウド型」と「オンプレ型」の2つの種類があり、これらの特徴はそれぞれ次の通りです。
・クラウド型
クラウド上に設置されたサーバーを利用するため、自社にCTIサーバーを設置したり、回線を引く必要がなく、PCやスマホがあれば簡単に導入することができます。
導入コストを抑えることができることに加えて、移転や利用規模の拡大などにも柔軟に対応しやすいのが特徴です。
・オンプレ型
自社にCTIサーバーを設置する必要がありますが、自社システムとの連携がしやすいのが特徴です。ただし、サーバーやPBXを設置する必要があることから導入コストが高いのがデメリットと言えるでしょう。加えて、一度システム構築してしまうと、状況に合わせて調整することが難しいことにも注意が必要です。
まとめ
今回は、企業の固定電話を廃止するメリットや、効率化する方法などについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
企業向けの電話周りのツール、システムには様々なものがありますので、それらの特徴を捉えたうえで、自社に適したツール・システムを選びましょう。
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