電話やメールなどによってお客様とのコミュニケーションを図るインサイドセールス。
インサイドセールスチームの立ち上げ・導入には多くのメリットがあり、営業効率や成約率を向上させることに繋がることは、みなさまもご存じの通りです。
しかし、インサイドセールス立ち上げの際に抑えておくべきポイントを知っておかなければ、「単なるテレアポチームになってしまった」、「明確な成果が見られない」などといった問題が生じてしまう場合も。
そこで今回は、インサイドセールスを新たに立ち上げる際に知っておきたい5つの重要なポイントと併せて、成功例・失敗例にも触れていきたいと思います。
【index】
- インサイドセールス拡大の背景
- インサイドセールスのタイプは3つ
- インサイドセールス立ち上げの5つのポイント
- インサイドセールスの立ち上げ事例
- インサイドセールス立ち上げの参考になる本
- まとめ
インサイドセールス拡大の背景
インサイドセールスは、元々は国土の広いアメリカで生まれた営業スタイルでしたが、最近では日本でもインサイドセールス市場が拡大しています。
その背景には、
- 深刻な人手不足
- 営業コストの削減
- 働き方改革
などがあります。
これらの課題をインサイドセールス立ち上げで解決できる理由には、電話やメールによる非対面でのコミュニケーションのため、訪問するための移動時間がかからないという点や、フィールドセールスは目の前の商談に集中することができるといったことが挙げられます。
また、訪問を伴わないインサイドセールス業務は、パソコンと電話さえあれば場所を問わず営業活動を行えることから、柔軟な働き方への対応も可能となるのです。
実際に、インサイドセールス立ち上げ、導入による効果は大きく、2019年の調査では、インサイドセールスを立ち上げ・導入した企業のうち43.6%が「商談の回数がとても増えた」と回答しているのです。
また、インサイドセールスを立ち上げ・導入することで業務が標準化されることから、営業活動のブラックボックス化、属人化を予防することにもつながります。
インサイドセールスのタイプは3つ
インサイドセールスは、お客様とのコミュニケーションを電話やメールなどによって行うため、「内勤営業」とも呼ばれていますが、その概念の厳格な定義はありません。
また、インサイドセールスは目的別に3つのタイプに分類することができ、インサイドセールスが担う役割によって導入するべきタイプが異なるのです。
次のように、インサイドセールスは「分業タイプ」と「独立タイプ」に分類されますが、ターゲットとなる企業規模や地域によって営業手法を変える「混合タイプ」という選択肢もあります。
SDR(分業タイプ)
SDRの役割は、webサイトなどから資料請求や問い合わせなどによって獲得したリードに対して、課題やニーズをヒアリングしたり、商品やサービスの簡単な紹介を行い、商談化させることです。商談化した案件はフィールドセールスへ引き継ぎますが、すぐに商談化しなかった場合でもBANT情報をヒアリングすることで商談化するタイミングを管理します。
SDRは、中小企業やスタートアップ企業をターゲットにするケースが多いのが特徴です。
BDR(分業タイプ)
SDRがインバウンドリードをメインにアプローチすることに対して、BDRは主にアウトバウンドによるリードの創出を行います。webサイトなどから流入するリードが少なかったり、大手企業へアプローチするために立ち上げるケースが多いのが特徴です。
BDRのターゲットは大手企業が多く、同じ企業内で複数の商談を獲得する場合もあります。
Onlain Sales(独立タイプ)
Onlain Salesは、オンラインツールを使用して初回商談を実施する営業組織です。そのままOnlain Salesチームが受注まで行うケースもありますが、扱う商材が高額である場合はフィールドセールスへ引き継ぐケースもあります。
Onlain Salesは、取り扱っている商材が低単価であったり、ターゲットとなる企業が中小ベンチャーである場合に立ち上げることが多いのが特徴で、比較的商談期間の短い商材を扱う組織に向いています。
インサイドセールス立ち上げの5つのポイント
ここで、インサイドセールスを立ち上げる際に重要な5つのポイントをご紹介していきます。
インサイドセールス立ち上げの目的を明確にする
まずは、現在自社が抱えている営業プロセスの課題や必要な商談件数などを確認し、インサイドセールス立ち上げの目的を明確にしましょう。
解決するべき課題と、目的の設定が明確化されなければ、インサイドセールスを立ち上げても単なるテレアポチームとなってしまいます。
成果につながるインサイドセールスを立ち上げるためには、まず初めに「今自社で抱えている課題を解決するために、インサイドセールスはどのような役割を担うのか?」について整理することが大切なのです。
KPIを設定する
インサイドセールス立ち上げの際は、KPIを設定することも重要なポイントです。
KPIを設定していなければ、せっかく新たにインサイドセールスを立ち上げても、それが軌道に乗っているかどうかの判断ができません。
インサイドセールスのKPIとして設定する項目としては、アプローチ数とアプローチの質にわけることができ、それぞれ次の通りです。
■アプローチ数
- コール数
- メール送付数
- コンタクト数
- 商談獲得数
■アプローチの質
- ヒアリングできた数
- 接触できた回数
人材を確保する
インサイドセールスを立ち上げに際して、社内もしくは外部の人材を登用する必要がありますよね。しかし、日本ではインサイドセールスの経験者やスペシャリストの数はまだまだ少ないのが実情です。
社内の人材を登用する場合、外勤営業(フィールドセールス)をインサイドセールスに登用することも有効です。これまでの営業経験で培った知識やノウハウをインサイドセールスとして活かすことは十分可能であり、自社の商材の知識もすでに持ち合わせていることから、インサイドセールスとして営業チームに貢献することができるでしょう。
外部の人材を登用する場合は、CRMを使用したインサイドセールスの経験が1年以上あることが望ましいでしょう。とは言っても、高額商材を扱っていた経験や、圧倒的な量で勝負してきた経験、接客接遇にこだわる業界でのビジネス経験があれば、インサイドセールス未経験者であっても活躍することが可能です。
運用ルールを明確にする
インサイドセールスを立ち上げる場合、その前後のマーケティング部門とフィールドセールス部門との役割分担を明確に行う必要があります。
例えば、マーケティング部門は、
- SNSやWEB広告の運用
- ウェビナーの開催など
インサイドセールスは、
- ウェビナー後のフォロー
- 問い合わせ、資料ダウンロードがあったリードに対してBANT情報をヒアリング
- 商談日時の設定までを担当する
フィールドセールスは、
- 商談
- 営業資料、契約書の作成
- 受注
といったように、具体的な運用ルールを明確に設定することによって、部門間の連携をスムーズに行うことができるのです。
ツールを選定する
インサイドセールスを立ち上げる際、その前後であるマーケティング部門とフィールドセールス部門との連携は欠かせないものです。これらの部門間の連携をスムーズかつ正確に行うために、SFAやCRM、MAツールの導入が必要となるでしょう。
その他にも、通話内容を自動で録音、テキスト化するCTIは、インサイドセールス業務をより効率化・高度化することに繋がります。
インサイドセールスの立ち上げ事例
インサイドセールスの立ち上げによる成功事例と併せて、失敗例も確認しておきましょう。
成功例
インサイドセールスの立ち上げによる成功例で多いのが、移動コストの削減や商圏の拡大などによる生産性・営業効率の向上です。
これらを実現するためには、インサイドセールス立ち上げの時点で、インサイドセールスの役割の明確化やKPI の設定に加えて、業務をより円滑に進めるためのツールの導入が必要となります。ツールの導入に関しては、扱う商材によって最適なものが異なっていたり、すでに導入しているツールとの相性などもあるため、いろんなツールを比較して検討することをおすすめします。
失敗例
SDR、BDRといったインサイドセールスチームでの失敗例として多くみられるのが、フィールドセールスへの情報共有がきちんと行われなかったことによる現場の混乱です。
インサイドセールスは、マーケティング活動によって得たリードをフィールドセールスへ引き継ぐまでが基本的な役割ですが、お客様が抱えている課題やニーズ、コミュニケーションの内容まできちんと共有できていなければ、スムーズな引継ぎができません。
こういったトラブルを予防するためには、インサイドセールス立ち上げの際に情報共有の方法をしっかりと構築しておく必要があります。
インサイドセールス立ち上げの参考になる本
最後に、インサイドセールスを立ち上げる際に参考になる書籍を2冊ご紹介いたします。
THE MODEL(ザ・モデル)・福田康隆著
インサイドセールスを導入した分業型の営業組織は、消費者や企業の購買行動の変化へ対応するためにアメリカで生まれた営業手法であり、その原点ともいえるのが、「THE MODEL(ザ・モデル)」です。
現在注目を集めているインサイドセールスという新しい組織を、営業全体像を踏まえてその機能やオペレーションのポイントを知ることができます。
インサイドセールス 訪問に頼らず売上を伸ばす営業組織の強化ガイド・茂野明彦著
「インサイドセールス 訪問に頼らず売上を伸ばす営業組織の強化ガイド」は、セールスフォースやビズリーチのインサイドセールス部門を成長させた著者によるノウハウが詰め込まれている一冊です。
インサイドセールスの採用や成約率を高めるKPI設定に関することなど、立ち上げに際して知っておくべきポイントが詳細に紹介されていますので、これからインサイドセールスを立ち上げる経営者やリーダーにおすすめです。
まとめ
今回は、インサイドセールスを立ち上げる際に知っておきたいポイントや注意点などについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
すでにインサイドセールスの立ち上げに成功している組織のやり方も参考にしつつ、自社の営業チームに合った方法で、成果につながるインサイドセールスチーム立ち上げを成功させましょう。
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