営業ヒアリングとは、お客様により良い提案をするための情報収集です。
とは言っても、聞き出したい情報をうまく引き出せなかったりと、ヒアリングに苦労している方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、営業ヒアリングの基本的な流れや情報をうまく引き出すコツなどをご紹介していきたいと思います。
【Index】
- 営業ヒアリングとは?
- 営業ヒアリングの流れ
- 営業ヒアリングのコツ
- 営業ヒアリング力をアップさせるには?
- まとめ
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営業ヒアリングとは?
そもそも、営業ヒアリングはどのような目的と重要性があるのでしょうか?
まずは、それらを確認してみましょう。
冒頭でもふれたように、営業ヒアリングの目的は、お客様により良い提案をすることにあります。つまり、営業におけるヒアリングは、そのための情報収集なのです。
一般的な営業フローとしては、
- 基本的な顧客情報を把握
- ヒアリング
- 提案・見積もり
- 受注
- 納品
- アフターフォロー
という流れが基本ですよね。
この流れの中で最も重要なプロセスがヒアリングです。ヒアリングの段階でどれだけ相手の状況やニーズを把握できるかによって、受注できるか否かが大きく左右されるのです。
例えば、ヒアリングが浅くお客様の真意に到達できなければ、その先の案件化(商談化)に進むことができなかったり、案件化したとしてもお客様の心に刺さる提案をするのは困難になります。
営業におけるヒアリングでは、表面化していない課題を顕在化したり、お客様が抱えている理想像とのギャップを明確にする必要があるのです。
営業ヒアリングの流れ
営業ヒアリングは、実際のコミュニケーションと同じぐらい事前準備が重要なポイントとなります。そこでここでは、事前準備の段階から解説していきたいと思います。
- 事前準備:仮説を立てる
- 事前準備:ヒアリングシートを作成
- 事前準備:競合や業界について調べておく
- アイスブレイク(雑談)で距離を縮める
- 有益な情報を提供
- 状況・課題・ニーズをヒアリング
- 課題に対して役に立ちそうなことを明示
事前準備:仮説を立てる
良質なヒアリングをするためには、お客様が置かれた状況や立場を踏まえて、仮説を立てることが重要です。事前準備の段階で立てた仮説は、実際に当たっても外れたとしても収穫はあります。
例えば、「何かお困りのことはありますか?」という質問に対して返ってくる答えは、すでに顕在化している課題です。まだ表面化していない潜在的な課題やニーズを掘り起こすには、立てた仮説を直接投げてみることです。仮説が正しければ、ハッとさせるような提案へつなげることもできますし、もし仮説が外れていたとしても、別の課題発見のための材料になります。
事前準備:ヒアリングシートを作成
新人の営業マンやインサイドセールスになりたての人は、いざヒアリングをしようとしても、緊張して頭が真っ白になってしまったり、「聞きたいことを聞けなかった」ということもあるのではないでしょうか?
必要な情報を聞き出すためには、何を聞き出すかを記載したヒアリングシートを事前に準備しておきましょう。
ヒアリングシートに盛り込むべき事項としては、次のようなものがあります。
■現状、課題(困っていること)
現在、
- どのようなものを使用しているのか?
- どのようなことに困っているのか?
という、お客様の現状や困りごとは、営業ヒアリングにおいて必須の項目です。
矢継ぎ早に質問して尋問のようにならないように、他社の状況などを挙げて情報を引き出すきかっけを作るのもいいでしょう。
■スケジュール感(納期)
希望する納期などのスケジュール感も、ヒアリングシートに盛り込みたい項目の一つです。
こちらとしての受注可能な時期が大まかにつかめることに加えて、「希望する納期に間に合わずに受注できなかった」なんてことも防ぐことができます。
■予算、希望価格
あらかじめ予算や希望価格を確認しておくことも大切です。なぜなら、価格は案件化した場合の争点となるケースが最も多いからです。
■決裁までの流れ
最終的な決裁者や決裁までの承認プロセスも、早期にヒアリングしておく必要があります。
早い段階で決裁者を把握できれば、そのターゲットに絞った提案をすることも可能となるのです。
■他社の検討状況
営業ヒアリングの時点で検討している他社の存在を把握していれば、商談前に他社の情報を収集し、比較しながら自社サービスや商品のメリットを伝えることができます。
事前準備:業界や競合について調べておく
営業ヒアリングの準備段階で、業界や競合について調べておくと、お客様の置かれている状況や立場が見えてきます。包括的に情報を収集することで、より具体的で現実的な仮説を立てることが可能となります。
アイスブレイク(雑談)で距離を縮める
アイスブレイクとは、本題に入る前の雑談のことです。
いきなり本題へ入るよりも、アイスブレイクを挟むことで会話のテンポをつかんだり、話しやすい雰囲気を作ることができます。
ただし、場合によってはアイスブレイクがマイナスに働いてしまうケースもありますので、注意が必要です。
※アイスブレイク記事のURL
有益な情報を提供
相手に役立ちそうな有益な情報を提供すると、「使える人間」だと判断してもらえるため、心を開いてもらいやすくなります。
アイスブレイクの雑談から、お客様にとって役に立ちそうな有益な情報に展開していきましょう。
状況・課題・ニーズをヒアリング
状況や課題の情報収集は、営業ヒアリングの要とも言えます。
お客様が感じている課題やニーズをヒアリングする際は、事前準備しておいた仮説やヒアリングシートを有効に活用させましょう。
課題に対して役に立てそうなことを明示
お客様の課題やニーズをヒアリングできたら、それに対して自社商品やサービスが役に立てそうなことを話しましょう。引き出した情報をそのまま放置してしまっては、営業としての力量を見透かされてしまい、真剣に対応してくれなくなってしまう可能性があります。
営業ヒアリングのコツ
営業ヒアリングを上手にできるかどうかは、「トーク力」ではありませんが、お客様の情報をうまく引き出すにはコツがあります。
「SPIN」で必要情報を聞き出す
SPINとは、
Situation(状況質問):状況を理解する
Problem(問題質問):ニーズを明確にする
Implication(示唆質問):問題の重要性を認識させる
Need payoff(解決質問):理想の状態をイメージさせる
の頭文字をとった営業話法の一つです。
これらの質問を、S→P→I→Nの順番で行うことで、言語化できていない課題を顕在化することができ、問題解決へと導くことにつながるのです。
SPIN話法の具体例は、次の通りです。
■Situation(状況質問)
- 御社の状況はどうですか?
- 誰がどのようなことをしていますか?
- 今後どうなりたいですか?
■Problem(問題質問)
- このままでうまくいきそうですか?
- うまくいっていないのは、どのようなことですか?
- 弊害は何ですか?
■Implication(示唆質問)
- 課題解決のためには、○○を行うべきではないでしょうか?
- なるべく早い段階で○○をしたほうがいいですよね?
■Need payoff(解決質問)
- 弊社のサービスを活用すれば、それを解決することはできませんか?
- この課題が解決できれば、このようなメリットがあると思いませんか?
営業ヒアリングにはBANT条件も有効
上記のSPIN 話法は誕生から30年以上経過した現在でも多くの営業マンに用いられているヒアリング方法ですが、「BANT条件」も代表的なヒアリング話法として知られています。
これらの質問事項は、事前準備のところでご紹介したヒアリングシートに盛り込んでもいいですね。
BANT条件とは法人営業(to B)の際にヒアリングすべき情報の頭文字をとった言葉で、それぞれの内容は次の通りです。
■Budget(予算)
まずは、自社の製品やサービスを購入するための予算があるかを確認します。
予算に関することはなかなか聞き出しにくいですが、「ニーズにお応えできる最適な提案をするために、希望の予算を把握しておきたい」という理由で質問するのがいいでしょう。
■Authority(決裁権)
担当者と話が進んでも、肝心の決裁者が承認しなければ、成約には至らないですよね。こちらもストレート聞きにくい質問ですので、「社内でどなたに相談されますか?」と聞き出すのがおすすめです。
■Needs(必要性)
相手の要望やニーズがこちらの提案と合致しているかを判断するためには、積極的に要望を聞き出す必要があります。
より良い提案をするために、「なぜ、そのような要望があるのか?」「必要だと思った理由は何か?」といった根底まで把握していると、いろんな角度からアプローチすることが可能となります。
■Timeframe(導入時期)
導入時期に関しては、「未定」だという返事が返ってくることも多いものです。その場合は、「〇月ごろまでに導入しておくのはいかがでしょうか?」と、こちらから提案してみましょう。
具体的な導入時期が定まれば、それまでのスケジュールを立てやすく、進捗も把握しやすくなります。
現在→過去→未来の順番で質問する
営業でのヒアリングは、相手にとって答えやすい順に質問することが大切です。
最終的に最も聞き出したいのは未来の話ですが、未来は不確定でわからないことも多いですよね。そのため、未来の話は、現在や過去の話よりも相手にとっては答えにくい質問なのです。
相手を主として「聞くこと」に重点を置く
営業ヒアリングでは、自分が話すよりも相手の話を聞くことに重点を置きましょう。
その際、情報を聞き出すために矢継ぎ早に質問を連投してはいけません。相手にとって気持ちよく進めるための環境を会話の中で整えることにも気を配りましょう。
また、相手を主語にして話すことも有効です。それによって、自然と関心を持ってもらうことができ、真剣に耳を傾けてくれるようになります。
営業ヒアリング力をアップさせるには?
営業ヒアリングのコツやポイントをご紹介しましたが、ここではさらにヒアリング力をアップさせるための方法をご紹介していきます。
良い見本に触れる
営業初心者の方は、営業ヒアリングが上手な先輩などの「良い見本」に触れるのがいいでしょう。ヒアリングに同行させてもらい、上手なヒアリングに直接触れることで、「どのように聞くか」という聞き方のイメージがつきます。
ロープレで練習する
営業ヒアリングを上達させるには、ロープレで練習するのもおすすめです。上司や先輩にお客様役を演じてもらい、終わったら必ずフィードバックをしてもらいましょう。繰り返し練習するうちに、自分の中での「型」がわかってくるので、次第に上達してくるはずです。
まとめ
今回は、営業ヒアリングの基本的な流れや情報をうまく引き出すコツなどをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ヒアリングの目的は、「お客様により良い提案をするため」であることを忘れずに、相手の気持ちを考えたうえで、効果的かつ効率的に行いましょう。
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