目次
1 会社/インタビュイー紹介
2 開発秘話
・お客様と社員全員が繋がる社会を目指す
3 2020年に起きたチャネルトークの大きな変化
・自らの強さを活かす
4 UI/UXについて
・コーヒーテーブルを意識したUI
・売り方にも現れる秀逸なUX
5 最大の武器 カスタマーサクセス
・社員全員で取り組む意義
・熱狂的なファンを創造する
6 チャネルトークの今後
・カスタマードリブンな社会を目指して
1.会社/インタビュイー紹介
株式会社Channel Corporation(旧:ZOYI Corporation)は熱狂的ファンを作るための顧客コミュニケーションツール「チャネルトーク」を提供する韓国発のスタートアップ。
「チャネルトーク 」はwebチャット、カスタマーマーケティング、ビジネスチャットの機能を軸に約30,000社のカスタマーサクセスを支援する今大注目ビジネスツールとなっています。
今回は同社CCOでソフトウェアエンジニア兼カスタマーサクセス担当の坂本彩さんにインタビューさせていただきました!!
2.開発秘話
お客様と社員全員が繋がる社会を目指す
ーーーまずチャネルトークが出来た最初のきっかけを教えてください。
実は一番最初は自分たちのためだったんですよね。元々別のプロダクトをやっていく時に他社のWebチャットを使っていたんですが、いわゆるデイリーツールになっていなかった。それが原因で重要な問合せを逃してしまうことがあったんです。創業メンバーの中に「これはスタートアップにとっては大きな機会損失だ!」という強い思いが生まれて開発が始まりました。自分たちの中からニーズを見つけたっていう感じですね。
ーーーチャネルトークのコンセプトはどのように決まっていったのですか?
色々ブレストしていく中で、どの企業においてもお客様と繋がるっていうところがあまりできていないんじゃないかと気付きました。社内全員がお客様の声を聞けている訳ではないですよね。だから、お客様と開発・マーケター・セールス・CS全員が同じコーヒーテーブルにいて、お客様を含めた全員でサービスを成長させていく世界観を作りたいっていうのが一番にありました。
ーーーそれがサービス内容にも反映されているんですね。
サービスの中にはslackのようなチャットツール機能も入っていて、チャネルトーク一つで社内の会話をしつつお客様の問い合わせが来たらぱっと同じツールの中で答えるというような使い方が出来るようにしています。
3.2020年に起きたチャネルトークの大きな変化
自らの強さを活かす
ーーー今年はカスタマーマーケティング機能の実装がありました。どんな思いから新機能が生まれたんでしょうか?
今までのWebチャットだけだとサイト内での会話だけに留まっていました。ただ、サイト内だけではなくてお客様がサイトから出てしまった後、メールやSMSでフォローアップのメッセージを送って、またサイトに連れて戻してくれる機能が必要だった。
そこで、今すごく重要視されているリテンション(*1)やLTV(*2)を伸ばすための機能として、カスタマーマーケティング機能をリリースしました。
*1 リテンション=既存顧客の維持
*2 LTV=Life Time Valueの略。取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたかの指標
ーーー機能拡張後も相変わらずの安さですよね(笑)
マーケティング機能って大きいところだとMA(マーケティングオートメーション)ツールに月額何十万円もかかるじゃないですか。でも、チャネルトークではミニマムでは1000円から、トラフィック(*3)が多くても5万円くらいで使えるようにしています。
うちはSMBやtoCも見ているので、そういった事業者の方が高級な機能を使えるようにしたいという想いがあります。
*3 トラフィック=サイトへの訪問数
ーーーそれを実行できる秘訣はあったりしますか?
チャネルトークって実はサーバーサイドのチームがすごい強いんですよ(笑) 半年くらいかけてがっつりリファクタリング(*4)して、データの持ち方を工夫しました。
他社と同じように性能は良いけれど高価なデータベースに全ての情報を入れるのではなくて、本当に必要な情報だけを検索性の高いデータベースに入れる。エンジン自体の性能を変えたのが、今年のポイントでしたね。
*4 リファクタリング=プログラムの外部から見た動作を変えずにソースコードの内部構造を整理すること
4.UI/UXについて
コーヒーテーブルを意識したUI
ーーー最近、東京女子大学の就活支援にその「使いやすさ」からチャネルトークが使用されているというニュースをお見かけしました。
とても嬉しいですね。チャネルトーク 本社のCDO(*5)兼プロダクトマネージャーは実はデザイナーなんですが、直感的に使えるUI/UXを一番重視した結果、ITとは離れた教育機関などにも広まったのだと思います。
*5 CDO=Chief Design Officer(最高デザイン責任者)
ーーー確かに可愛くてお洒落なので、使いたくなりますよね。
ありがとうございます。コーヒーテーブルでカジュアルにお客様と会話ができる世界観を実現したく、可愛らしい感じのサービスUIにしてます。ユーザーが気軽に絵文字を使ったりできるような雰囲気にしてますね。
ーーー「ちゃねり」というキャラクターは誰が考えたんですか?
CDOが考えました。「ちゃねり」の名前については、ユーザーコミュニティでお客様に”名前どれがいいですか?”っていうアンケートをとって「ちゃねり」が圧倒的に多かったんですよ。結局、韓国と同じ名前になりましたね(笑)
売り方にも現れる秀逸なUX
ーーー韓国の話が出ましたが、日本と韓国で顧客に違いはありましたか?
めちゃくちゃありました!韓国の方は自分たちで応用するというか、機能が与えられた際、使い方を考えて応用するのが上手なんですよ。だから最初はFAQすらなかったんです!
ーーーえー!?そんなことがあるんですね
だから最初に日本に持ってきたとき、韓国サイドから「なんでFAQなんか作ってんねん」みたいに言われたくらいで(笑)
でも日本だとマニュアルとか活用事例とか、とにかく正解例を提示してあげるだけでお客様の食いつきが全然違うし活用度合いも変わってくる。「顧客のフィードバックをプロダクトに反映するのが先だ」っていう韓国側の意見はもちろん正しいのですが、そこは日本向けのローカライズを最優先にしました。
ーーー日本では当たり前のことも外資系だと壁になってしまうこともあるんですね。。。
週末に一人で無料ガイドを作ったりしていたんですが、お客様からすごく良い反応をいただけて。今では韓国側がそれを真似しているくらいなんです。
日本で反応の良かった施策を韓国側に持ち込むことも多いので、そういう意味では他の外資系企業とは少し違うかもしれません。
ーーー売り方を工夫したりはしましたか?
しました!最初は「こういう機能あります」って説明してたんですけど、結局、機能群でいうと既存のサービスと似たようなものになってしまうのでやめました。
チャネルトークが提供したい価値は、お客様にファンになってもらい、そのことによってLTV増加や新規開拓に繋がるという一点だったので、「答えは顧客にある」というビジョンを一番に説明し、その後で機能とどう結びつくか説明する流れに変えました。
ーーーチャネルトークならではの部分をしっかりと見せるようにしたんですね。
あともう一個あったのが、ウェルカムパッケージを渡すことですかね。その中には耳掻きが入っていてお客様に理由を当ててもらうんです。
これは「お客様の声がよく聞こえるように」っていうメッセージなんですよね(笑) それをピッチとかやる前に渡しちゃう。このチームは違うぞっていうインパクトを与えたくて。
ーーーまさにUXですね。体験でわからせるというか。
そうした方が楽しいですからね(笑)
5.最大の武器 カスタマーサクセス
社員全員で取り組む意義
ーーー社員全員でカスタマーサクセスに取り組んでいらっしゃるそうですが、なぜそのような体制を取られているんでしょうか?
チャネルトークはお客様の声を聞こうっていうツールで、主体となるのは業種に関わらず全員だと思っているんですよね。
例えばエンジニアだと、自分の書いたコードがお客様にとってどんなインパクトが与えられているのかっていうのがリアルタイムにわかると全然モチベーションが変わるんですよ。顧客中心文化をしっかり作って、顧客の声を反映させながらプロダクトを成長させたいという軸はありますね。
ーーー坂本さんはチャネルトークでインターンをしていたこともあると伺いました。その文化は当時からですか?
その頃から変わらないです。私はエンジニア兼カスタマーサクセス担当なので、テクノロジー関連の質問が来たらぱっと出て行って答えます。問題解決もスムーズに出来ますし、お客様に感謝のお言葉をいただくことも多いですね。
例えばバグが起きて修正・リリースが完了した後、そのお客様に「さっきのバグ、私が直しました!」って直接言いに行ったりもします。
ーーーめちゃくちゃかっこいいですね!
うちでは普通の文化なんですよね。別にルールは決まってなくて、多くのメンバーが自分でやるべきだと思ったから報告しに行ってます。社外ではそんなエンジニアはいないみたいなことは言われますけど(笑)
ーーーCSについてのKPIはどうお考えですか?
もちろんアップセル(*6)やクロスセル(*7)は一つの指標ではあるんですが、事業目線で見ていくものなので個々のKPIとしては置いていないですね。そもそも流動的な戦略の立て方をしているということもあり、あまり小さなKPIを追いすぎないようにしようとは思っています。
*6 アップセル=より高額なサービスの利用や利用数の増加をしてもらうこと
*7 クロスセル=利用しているサービスと関連した別サービスを導入してもらうこと
ーーーチャネルトークならではのKPIとかあったりしたんですか?
お客様の「温度感」をKPIにしていたことはありましたね。NPS(*8)をとったこともあったのですが、お客様も気を遣ってしまい、あまり当てにならないと思ってやめました。その代わり、自分が対応したお客様の温度感を10段階くらいで評価するようにしたんです。他の人に紹介してくれそうだったら8みたいな。そうすると実際にファンが増えていくのがわかったし、すごく良かったと思います。
*8 NPS=Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で、顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標
熱狂的なファンを創造する
ーーーファンを作るってすごく難しいと思うのですが、コツとかポイントはありますか?
プロダクトとCSがちゃんとしていれば、どのスタートアップにもファンはいると思うんです。でも、何もしなければ一社一社個別のまま。だから私たちはファン同士が繋がれる場所としてユーザーコミュニティを作りました。自分以外にもファンがいることをわかっていただき、自信を持ってもらうのが大切だと思います。
ーーー確かにファン同士で事例共有とかもできますよね!
去年やった施策ですごく良かったのが、noteで行ったアドベントカレンダー(*9)ですね。お客様の成功事例をベンダー側が紹介するのではなく、お客様自身の言葉で書いてもらう。そうすることで共に歩んでいる感じも出るし、何よりお客様自身がなぜファンであるのかを論理的に考える機会にもなったと思います。
*9 アドベントカレンダー=クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダー
ーーーすごくいいですね!うちもやりたいなぁ。
ぜひやってください!最初の方を誰にするかが勝負だったりします(笑)
ーーーオフラインでのCSでも何か意識されていることはありますか?
チャネルトークの日本チームは4人しかいないこともあって、再現性のないオフラインイベントの開催等はしていないです。
お客様と一緒にいる空間を作り出したいので、オンラインに振り切って、zoomでの意見交換会などカジュアルにお客様と接する機会を増やすことを意識しています。
ーーーお客様のカスタマーサクセスについて、よくアドバイスすることはありますか?
顧客とカジュアルに話しましょうっていうのはよく伝えますね。結構堅く話してしまう方が多いんですが、カジュアルに話した方が顧客と友達みたいになれると思ってます。
友達みたいになれたら本音も引き出しやすいし、何かあった時に協力してくれますしね。あとは顧客の声をしっかりと社内共有しましょうというのもよく言います。
6.チャネルトークの今後
カスタマードリブンな社会を目指して
ーーーそれでは最後に、チャネルトークが目指す理想の社会とチャネルトーク自身のありたい姿について教えてください。
サービスを提供している人たち全員がお客様とつながっていて、お客様の声をベースに意思決定していく「カスタマードリブン」の会社を増やしていきたいと思っています。
チャネルトーク自身としては、顧客との密接なコミュニケーションを促すというところを重視しながら開発していくつもりです。
ーーー全てにおいて「答えは顧客にある」というのが一番に考えられていて、とても素敵です!ありがとうございました!
取材日:2020/11/06(金)
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